上田会計週報『平成30年度税制改正 法人課税編』2018.1.22

法人課税は、(1)賃上げ・生産性向上と(2)競争力の強化等に重点を置いた改正内容です。今回は、前者の「所得拡大促進税制の改組」について、その内容を概観し、後者については次回に譲ります。
改組の内容は、①設立事業年度は対象外とする、②基準年度ベースによる増額の廃止、③計算の基礎となる継続雇用者の範囲を見直し等(当期及び前期の全期間の各月において給与等の支給がある雇用者で一定の者)した上で、大企業と中小企業とで、要件及税額控除に差異を設けています。
適用は、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度です。

●大企業の適用要件と税額控除

適用要件は、①平均給与等支給額が対前年度比3%以上の増加、かつ、②国内設備投資額が当期の減価償却費の9割以上であること。
一方、税額控除は、法人税額の20%を限度として、①給与等支給額の対前年度増加額の15%、さらに、当期教育訓練費の増加額が前期・前々期の教育訓練費の平均1.2倍を満たす場合には、控除率を5%上乗せし、20%とする。
なお、3年間(上記適用期間)の措置として、前年度の所得を上回っているにもかかわらず、①当期の平均給与等支給額が前年事業年度の平均給与等支給額を超えていない、かつ、②国内設備投資が当期償却費の1割の金額を超えていない場合には、研究開発税制その他一定の税額控除の規定を適用しないと、としています。
なお、大企業とは、中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除く)又は農業協同組合等以外の法人です。

●中小企業の適用要件と税額控除

適用要件は、平均給与等支給額が対前年度比1.5%以上の増加であること。
一方、税額控除は、法人税額の20%を限度として、①給与等支給総額の対前年度増加額の15%、②さらに、平均給与等支給額が対前年度2.5%増加し、かつ、教育訓練費増加(前年の1.1倍)等の要件を満たす場合には、控除率を10%上乗せし、25%とする。
なお、教育訓練等(大企業・中小企業共通)とは、国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるための一定の費用です。

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