上田会計週報『等級制度の日米接近』2018.03.26

衆知のように、我が国の人事賃金制度の基軸は、職能資格制度から役割等級制度へ移行しつつあります。
このような等級制度の変化を日米比較の視点から見ますと、次のように、両者は接近しつつあることが分かります。

米国の職務等級制度の変化

19世紀末までの時期、欧米では「ヘイシステム」に代表される“職務級制度”が広く活用され、精緻な職務分析に基づく職務評価の実施と対応する賃金が適用されていました。
この流れに変化を与えたのは、19世紀末から20世紀初めの「間接部門の合理化」で、欧米大企業が「本社100名体制」を標榜して、直間比率の改善を進めました。
その結果、本社に少数精鋭が集められ、1人の担当者が、広い領域の業務を担当するようになりました。
その職務を、従来の職務評価法で評価しようとすると、個人が担当する職務は広く、深いものとなり、職務の点数評価も幅広くなって、「〇〇点の職務」と言う職務別の精緻な点数評価と異なり、「〇〇点~△△点の職務」と言うような、所謂「ブロードバンド」型の評価をせざるを得なくなりました。
職務遂行実績も個人差が生じることとなり、業績差を評価して「等級間重複型範囲給」を適用するようになりました。

日本の等級制度の変化

一方、我が国では、従来一般的に活用されていた職能資格制度から役割等級制度へ移行しつつあり、知識集約型産業社会への移行と個人の能力差・業績差を重視する風土も相俟って、賃金制度でも「範囲型役割貢献給」が採用されるようになりました。

経営者・管理者の留意点

このように、日米の等級制度・賃金制度は接近しつつあり、海外事業活動においても留意すべき点の一つと言えましょう。

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