上田会計週報『改革の基本構想』2018.12.25
自治体では、総合計画・基本構想で将来の目標を明確にし、諸施策を推進していますが、企業経営では経営計画とその実現を図る経営改革基本構想がそれに当たり、改革を実現するためには不可欠であると言えます。ここでは、「改革基本構想」の策定方法について解説させて頂きます。
「改革基本構想」とは
「改革基本構想」を確立することは、事業そのものや、事業推進方法に重要な問題点や課題が存在し、それを改革して「あるべき姿」を実現しようとする時に、目標への到達とスタートからゴールに至るプロセスを管理するために不可欠な事柄です。
[基本構想の要素と表現例]
要素 | 表現例 |
あるべき姿が具体的に示されており、達成期限が
設定されている。 |
〇〇の効率を、2020年度までに、年間30%向上させる。 |
推進の基本方針が定められている(達成プロセスを管理する考え方や予算などの重要事項。 | ・目標管理制度の部門間プロジェクトチームで推進する。
・三現主義とPDCAサイクルの徹底 ・予算:〇〇万円 |
改革のスタート時に「基本構想」が設定されていないと次のような、改革推進の障害が避けられなくなります。
- 改革のゴールが見えず、目標が曖昧なため、的はずれな手段で迂回を余儀なくされたり、混迷状態に陥ったりします。
- 避けられない障害に遭遇した場合、原点回帰して、やり直そうとしても、戻るべき原点が見出せません。
「基本構想」の策定方法
このような「基本構想」を策定するには、改革が必要な事業やプロセスについて、
① 三現主義で、現状の問題点を抽出し、その問題点を裏返して、「改革の課題」を把握する。
② 改革を実現したときの“あるべき姿”を検討し、高次叙述文(固有名詞・数詞を中心とする文章表現)で具体的に記述する。 ③ “あるべき姿”と現状のギャップを埋める適切な手段を検討、決定する。 |
①~③の方法を、目標管理制度の目標設定プロセスで行うのが適切です。