上田会計週報『平成31年度税制改正大綱 消費税編』2019.01.21
与党大綱、消費増税「確実に実施」と明記
「消費税対策」が中心に据えられた平成31年度の税制改正。与党税制改正大綱では、「消費税率10%への引上げを平成31年10月に確実に実施する。」と明記され、現政権の堅い決意を表明しています。
既に30年11月に自民党税制調査会が「消費税率引上げに伴う対策について」の中で対策の大枠を掲げていました。
駆け込み・反動減
中小・小規模対策 |
耐久消費財対策
(平成31年改正) |
逆進性対策 | 軽減税率導入 |
負の所得効果対策 | 賃金引上げ
幼児教育無償化 |
「複雑となりすぎた制度」環境整備急務
これが、与党税制改正大綱の「消費税率の引上げに伴う対応」の3項目に落とし込まれました。特に軽減税率導入時の混乱が予想されるため、環境整備が急がれます。
① 需要変動の平準化に向けた取組み
(価格表示・転嫁対策、住宅・自動車の措置) ② 軽減税率制度の実施 (Q&A追加、個別相談、レジ導入支援など) ③ 医療費に係る措置 (診療報酬の補てん状況を調査・対策) |
「屋台でも免税」臨時販売場の出店容易に
東京オリンピック開催に備え、外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売所制度)が見直され、事業者が地域の祭りやイベントに免税店を出店する際の手続きが簡素化されます(「臨時販売場に係る届出制度」の創設)。現行制度では、屋台など短期間で免税店を出店する場合でも、常設店同様の提出書類(店の見取図、マニュアル、免税対象品目など)が必要で、審査に時間がかかるため、申請を見送るケースも多くありました。この制度の開始は、平成31年7月からとなります。
急増する金密輸に対策:買取側控除に制限
ニュース等で話題の「金密輸」についても対策が講じられます。国外から日本に金を持ち込む場合には、申告を行い、消費税を納める義務がありますが、密輸業者は金を隠して持ち込み、国内買取業者に消費税を上乗せして販売。差益を得ていました。
これに対し、①密輸品と知りながら行った課税仕入れは仕入税額控除を認めない、②金・白金の地金の課税仕入れについて、本人確認書類の保存を仕入税額控除の要件に加える措置がされました(H31.4~)。