ミネルバ会計週報『返金不要の収益認識』2019.07.08
一定期間にわたる「返金不要の収入」とは?
年間契約や数年にわたる契約で、その料金を契約時に一括で受け取っているような場合に該当します。一般的な事例としては、保守サービスや顧問契約等が挙げられます。
そういった契約で、中途解約ができず、あるいは解約できても残りの期間の返金はないような契約(返金不要の収入)は、従来、契約時に一括して収益計上することが税務当局の考え方でした。
会計基準は強制適用へ
しかし国際会計基準では「一定期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定期間にわたり認識する。」(企業会計基準41)となり、返金不要の場合でも履行期間にわたり按分して収益を認識することとし、2021年4月以降開始する大企業の事業年度には強制適用となります。
税務当局も歩み寄りか?
税務当局も基本通達2-1-40の2を新設し以下のように言っています。
「中途解約のいかんにかかわらず返金不要の支払いについては、原則として取引開始時に収益計上するが、契約等の特定期間における役務の提供ごとに、それと具体的な対応関係をもって発生する対価からなるものと認められる場合には、当該特定期間の経過に応じて益金算入することを認める」。何とも歯切れの悪い文言で、いやいや認めるといった感があります。
そこで文書照会をしました
「文書照会」とは、文書で会計処理方針を伝え税務上の判断を文書で回答してもらうものです。内容は「返金不要の収入を経過期間に応じて収益計上してもよいか?」というものです。
結論から言えば回答は得られませんでした。理由は「契約等の特定期間における役務の提供ごとに、それと具体的な対応関係をもって発生する対価からなるものと認められる場合」に該当するか否かは、実地調査の結果でないと判断できないということでした。今後の展開にご期待ください。