ミネルバ会計週報『税法における刑罰』2019.11.25

税法には、過少申告や無申告に対して加算税のような行政上の制裁措置がありますが、この他にも悪質な行為に対しては、懲役刑や罰金といった厳しい刑罰の規定もあります。以下、主なものをご紹介します。

 

脱税犯

納税義務者が「偽りその他不正の行為」によって租税を免れ、または租税の還付を受ける行為は逋脱犯となり、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはその併科となります。
故意に申告書を提出期限までに提出しない行為は申告書不提出犯となり、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金またはその併科となります。
徴収納付義務者が徴収して納付すべき租税を納付しない行為は不納付犯となり、10年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはその併科となります。
この他に外国貨物の密輸入や酒類の密造は間接脱税犯となり、滞納処分の執行を免れる目的で財産の隠蔽・損壊その他租税債権者の利益を害する行為は滞納処分免脱犯となります。

 

租税危害犯

申告書に虚偽の記載をする行為は虚偽申告犯となり、正当な理由がなくて申告書を提出期限までに提出しない行為は単純無申告犯となります。徴収納付義務者が徴収すべき租税を徴収しない行為は不徴収犯となり、税務職員の質問に対する不答弁・虚偽答弁、検査の妨害等、虚偽記載帳簿書類等の提出は検査拒否犯となります。
これらはいずれも1年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。

 

煽動犯

国税の無申告や虚偽申告又は国税の不納付等を煽(せん)動すること、及び無申告や虚偽申告又は不納付等のために暴行又は脅迫を加える行為は煽動犯となり、3年以下の懲役又は20万円以下の罰金となります。

 

故意

これらの租税犯には「故意が必要であると解すべき」(金子宏『租税法』第23版、1125頁)といわれており、過失の場合には適用されません。

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