ミネルバ会計週報『今更ですが残業手当の 計算方法について』2022.06.06
勘違いしやすい残業計算のポイント
時間外労働や休日労働をさせた場合に原則的にいわゆる割増賃金(残業代)を支払うことになりますが、その計算方法において正しく理解しているとは限らず勘違いして計算しているケースがあります。
割増賃金の算出時に除外できる賃金
給与の時給単価を計算する際には基本給と各種手当も対象です。しかし労働と直接的な関係が薄く個人的事情に基づいて支給されるもので、対象から除外できる賃金があります。
ア、家族手当、イ、通勤手当、ウ、別居手当、エ、子女教育手当、オ、住宅手当、カ、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金、このうち家族手当と通勤手当、住宅手当は、名称が同じであっても一律支給等である場合等は除外できません。
他によくある間違いは、皆勤手当や管理職手当も含めて計算しなければならない点です。管理職手当が割増賃金を含んでいるならば給与規定や雇用契約書に時間外労働の対価であることが明記され何時間相当分かその時間を上回ったら差額を支払うこととなっているかなどの条件があります。このような条件を満たしてない場合は除外されません。また、管理職手当全額が残業代の時は本来の職責部分の扱いはなく、定額残業代と同じ性格を持つと言えるでしょう。
時間外労働の時間数の集計方法
1日の労働時間は1分単位で計算します。1日単位の切り捨ては認められていません。1か月を集計し切り捨てる場合は労働時間を通算して30分未満の端数が出た時は切り捨て、30分以上の端数は1時間に繰り上げすることは認められています。割増金額に1円未満の端数が生じた場合や1か月間の割増賃金に1円未満の端数が生じた時は「50銭未満は切り捨て、それ以上は切り上げ」ることができます。
1時間当たりの単価の算出方法
月給制の方の算出方法は、月給÷1年間における1か月平均所定労働時間=時給単価が出ます。
1か月の所定労働時間の算出は365日から年間所定休日を除いて年間所定労働日数を出し、その年間労働日数に1日の所定労働時間を乗じて12で割ると1か月の平均所定労働時間が算出されます。