歯科医院経営の「今」を深掘り!第24回医療経済実態調査から読み解く収益と費用の実態
東京都品川区にある歯科業界特化の税理士法人の歯科税理士東京Smile(ミネルバ税理士法人)です。当社では、現在120件を超える歯科医院のお客様をサポートしております。
日々の診療に忙しい歯科医院の先生方にとって、ご自身の歯科医院の「経営の健康状態」を正しく把握することは、これからの経営を安定させるうえで欠かせません。その一助となるのが、全国の医療機関の経営状況を明らかにした公的な調査データです。
今回は、令和5年(2023年)に中央社会保険医療協議会が発表した「第24回 医療経済実態調査」をもとに、現在の歯科医院経営の実態について簡単に解説いたします。特に、収益と費用の動向や、「個人事業主」と「医療法人」それぞれの経営形態による収益性の違いに焦点を当て、税理士法人としての視点からポイントを絞ってお伝えしていきます。この分析が、今後の経営判断や戦略を考える際のヒントとなれば幸いです。
第24回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告をご確認ください。
調査概要と歯科診療所の立ち位置–私たちの「今」を知る
「第24回医療経済実態調査」は、全国の幅広い医療機関を対象とした大規模なものです。今回の調査では、歯科診療所の合計667施設からの有効回答が得られました。このデータは、個人事業主の歯科医院と医療法人経営の歯科医院が、それぞれどのような収益、費用、そして損益差額の状況にあるのかを詳細に分析する基盤となっています。
歯科医院の損益状況–数字が語る「リアル」
売上分析
このデータから、医療法人形態の歯科医院が医業収益で1.8%の増加を達成している一方、個人形態の歯科医院では医業収益が-1.6%の減少となっていることが明らかになりました。個人事業主の場合は、開業したばかりの歯科医院の数値が入っていることを考慮しても、経営規模や組織体制の違いが、収益性に大きく影響している可能性を示唆しています。
費用分析
費用項目の詳細分析の中でも、特に注目すべきは給与金額の動向です。これは経費の中で最も大きな割合を占める項目であり、前年度と比較して個人診療所では0.5%増(14,268千円)、医療法人では2.7%増(53,362千円)と、いずれの経営形態でも増加傾向にあります。この人件費の増加は、経営を圧迫する主要因の一つであり、適切な人員配置と生産性向上が、収益性を維持する上で不可欠です。
今後の展望や予想
今回の調査結果から、歯科医院全体として収益の伸び悩みに直面する一方で、費用増加が経営を圧迫している厳しい現実が明らかになりました。特に、医療法人が比較的安定しているのに対し、個人診療所では収益が減少し、損益差額が大きく落ち込んでいる点は見過ごせません。だからこそ、歯科医院は収益向上の努力と同時に、費用構造の見直しと効率化を強く推進していく必要があります。
- 経営効率のさらなる改善
- 患者様の満足度向上は、リピート率の増加、ひいては安定した収益確保の鍵となります。
- 新規患者様獲得のための効果的な集患プロモーションも検討が必要です。
- 保険診療に加え、自費診療の積極的な導入と提案は、収益向上に大きく貢献します。
- 経営形態に応じた戦略の策定:
- 個人事業主と医療法人では、税務上の取り扱いや経営上の特性が異なります。それぞれの形態に合わせた経営戦略を策定することが、安定した経営には不可欠です。
以上になります。こちらの内容が、先生方の今後の歯科医院経営戦略の一助となれば幸いです。歯科税理士東京Smile(ミネルバ税理士法人)では、先生方の歯科医院が持続的に成長できるよう、税務会計面からサポートしています。税理士をお探しの場合はお気軽にご相談ください。