ミネルバ会計週報『消費税のQ&Aだけでの立法』2019.10.21
通達での扱い
事務所の賃貸借契約による家賃の受取りや支払いなどの場合、消費税の課税資産の譲渡等・課税仕入れの時期は、当該契約又は慣習によりその支払いを受けるべき日とする、というのは消費税の通達の規定しているところです。
また、もっと一般論としては、翌月分以降の家賃の支払いに該当する前払費用について、所得税通達又は法人税通達の取扱いの適用を受けている場合は、課税仕入れは、その支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱う、ということも消費税通達の規定しているところです。
過去8%への増税の時のQ&A
消費税率が8%になった平成26年4月1日以後について出された「Q&A」では、4月1日以後は、原則として新税率が適用されますが、ただし、契約又は慣行により、継続して対価収受時に収益計上しているときは、施行日の前日(平成26年3月31日)までに収益に計上したものについて旧消費税率を適用して差し支えありません、と書いていました。
10%への増税に際してのQ&A
今回の「Q&A」は進化していて、前の増税時に「差し支えありません」としていたものについて、すべてその表現を消滅させています。
しかし、9月末日までは、10%消費税は法律上存在しておらず、9月決算法人の決算書で、10月分以降の期間に係る取引について、10%の消費税計算処理は不可能です。
Q&Aが命ずるみなし会計処理
10月1日前においては、新税率による処理ができないため、8%での処理をし、10月1日以降に、新税率が適用される部分について8%での対価の返還があったものとして処理した上で、改めて新税率10%による消費税処理を行え、と命じています。
みなし返品処理という会計処理、税務処理が要求されているのです。でも、会計処理には、それを裏付ける証票書類が必要です。仕入税額控除の適用を受けるためには、法定事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が要件とされています。
Q&A立法の合法性?
法律の改定も、通達の改定すらもないのに、Q&Aだけが独り歩きの如く解釈進化することに、疑問を呈する論調がないことも、忖度社会と言え、異常です。